新人看護師必見 ドレーン管理の基本~最悪なインシデントだけは避けたい~

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 今回もご愛読ありがとうございます。

 どうもこたつです。

 今回は患者にとってだけでなく、看護師が自分自身を社会的に危うくしないための、安心・安全なドレーン管理方法について投稿します。看護師は日々インシデントを起こしてしまわないかというプレッシャーと向き合いながら業務を進めていると思います。インシデントの中でも重大なインシデントだけは何としてでも避けたいですよね。特にドレーン管理となるとミスは患者の身体状態へ直結してしまいます。安心・安全なドレーン管理のために少しでも参考になるとうれしいです。

ドレーン管理に関連するインシデント5選

ドレーン管理という点に焦点を絞ると、よく起こってしまうインシデントは同じようなものばかりです。まずは今まで起こってきたありがちなインシデントを見てみましょう。

①ドレーンの誤抜去

 ドレーンはナートで固定されていて中々抜けることはないと思えますが抜けるときは抜けます。リハビリ生活援助ケアせん妄患者など様々な場面で誤抜去を見ていました。

テープは強力なΩ型

看護師にできることとしたらドレーンルートをテープで固定することです。固定の仕方はΩ型。よくあることは固定テープがミルキング手技や排液の脇漏れなどで剝がれてしまうことです。定期的に固定テープの強度を確認するようにしましょう。

ドレーンバックも固定

リハビリの際はドレーンバックも病衣に固定するようにしましょう。安全ピン・鉗子を使う方法がお勧めです。リハビリを安全に進められるように環境を調節することは看護師の役目なので、リハビリ中にドレーンが抜けても看護師の責任になりかねないです。リハビリ前にはドレーンが絶対に抜けないような環境調節をしましょう。

せん妄患者からは目を離すな

私はせん妄患者に胃管を何度も抜かれたことがあります。彼ら彼女らは頭のねじが何本か抜けているので躊躇なくドレーンを抜きにかかるでしょう。「きっと抜こうとする。」と考えて抑制や見守りの徹底をするしか解決策はないです。せん妄であってもたまに呑気なことを言うかわいいおじいちゃん・おばあちゃんに見える患者もいますがそんなのに騙されないようにしてください。こっそりバレずにドレーンを抜くことを目論んでいると思っておきましょう。

②ドレーンルートの閉塞

ドレーンルートが開通していないということはドレナージ不良のリスクが非常に高いです。いくつかの要因でルートの開放が阻害されてしまうことがあります。

ルートの外側の力で閉塞される場合

 体位変換の後にドレーンルートが屈曲されていたり、ドレーンバック内の排液破棄後にルートのクレンメを開放し忘れることでよく起こるインシデントです。排液したいものが体内にとどまることで身体への悪影響が生じてしまいます。ドレーンが屈曲しないようにテープ固定の位置を検討することも大切です。それ以上に大切なことは、患者から離れる際にドレーンルートに屈曲・クレンメ未開放などの閉塞の原因がないかを必ずチェックするようにしましょう。

ルートの内側から閉塞される場合

 ドレーンルートの閉塞の原因として、コアグラや組織によってルートが詰まってしまうことがあります。ミルキング鉗子を使って詰まらないようにしましょう。ただ、吻合部付近のドレーンをミルキングすることは出血リスクになります。医師や上位スタッフに相談の上、ミルキングすることをお勧めします。

③ドレーン圧を統一できていない

 ドレーンは必ず圧調整をしています。ドレーン管理の難しいところはドレーンに用いられるデバイスによって圧調整の方法が違うという点です。ドレーンの圧を調整する方法を理解しない状態で受け持つことで、医者の指示とは違ったドレーン圧で管理してしまうことがあります。胸腔ドレーンだけでも、3連ボトルシステムと電動式低圧吸引器が用いられ、3連ボトルシステムでは蒸留水の量で吸引圧を調整する一方で、電動式低圧吸引器はボタンを押すだけで吸引圧を調整できます。ドレーンボトルを凹ましボトルが元の形状に戻ろうとする力を用いて陰圧をかけるデバイスもあります。

 使用しているデバイスはどのように吸引圧を調整しているかはしっかりと理解しておきましょう。また、受け持ち患者は今どのくらいの圧でドレーンを管理しているかも必ず把握しましょう。

④ドレーン圧を元に戻し忘れる

 ドレーン留置中の患者を受け持つとドレーンバックをいじる機会が何度かあります。その際にドレーン圧を正しく設定し忘れてしまうことがあります。

 ドレーンバック内の排液破棄のタイミングなどでは一度ドレーン圧を平圧する必要がある場合があります。また、脳室ドレーンというドレーンは体位変換や離床する時にはドレーンルートをクレンメし圧がかからない状態にする必要があります。このようにドレーン留置中はドレーン圧を変更したり解除したりするタイミングが必ずあります。その際にドレーンを元の状態に戻し忘れ、陰圧がかかっていなかった、陰圧が掛かりすぎていたというインシデントが起きないようにしましょう。

⑤ドレーンバックの破損

 ドレーン管理ではドレーンバックの蓋を開けようとしたら蓋がちぎれてしまった、ミルキングをしたらチューブが切れてしまった、3連ボトル胸腔ドレーンを倒してしまったなど、ドレーンが使い物にならなくなってしまったインシデントも遭遇したことがあります。忙しい中でもドレーンの扱いは丁寧に行うように心がけましょう。3連ボトルが倒れた場合やミルキング中にチューブが切れてしまった際のトラブルシューティングも勉強すると良いかもしれません。

ドレーン管理で大切な考え方

 よく起きるインシデントを書いていきましたが、インシデントを防ぐ上では、それぞれのドレーン毎の管理方法やドレーン留置の目的を理解するということが一番の重要事項です。ドレナージが正常に行われて、出てくる排液は異常な性状や量ではないのかという考えを常に持ちながらドレーンの状態を見るようにしましょう。

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