新人看護師向け VS(バイタルサイン)の奥深さ 海底二万マイル 呼吸回数編

医療関係者向けページ

 今回もご愛読ありがとうございます。

 どうも、こたつです。

 VS(バイタルサイン)の破綻は生命の維持が脅かされつつある状態です。新人看護師は、VSの悪化があれば急変だと思ってもいいかもしれません。VS変化を早期に発見し原因検索・対応を適切に行う必要があります。基礎中の基礎でもあり、海底2万マイル以上に奥が深いです。VS項目を一つ一つ理解し、身体状態の変化と関連付けて考えられるようになればアセスメントも深まるでしょう。今回の投稿は特にICUの新人看護師にお勧めです。

今回はVSの中でも影が薄いかもしれない呼吸回数についてです。

呼吸回数の基礎知識

正常値

12~20回/分程度 (成人の場合) 

異常値

徐呼吸:10~12回/分  頻呼吸:20~25回/分  (成人の場合)

呼吸回数は呼吸状態ではなく全身状態の指標

 呼吸回数と聞くと呼吸が苦しい、呼吸がしにくいという呼吸状態だけの評価で終わってしまう方が多いです。しかし、呼吸の内呼吸・外呼吸のどの要素も正常だとしても呼吸回数が異常値になることはよくあることです。なんで??となりますよね。

 先に答えを言うと、気道や換気・ガス交換など、呼吸のどこかの要素が正常に働かないことで全身が酸素化不足になり、低酸素という全身状態響の異常が出てきます。その段階でやっと呼吸回数は増加しハカハカと頻呼吸となります。

呼吸は身体から酸素を取り込んで二酸化炭素を排出する

 全身状態と呼吸回数を関連付けて考えるためには念頭においてほしいポイントがあります。それは、身体は呼吸をすることで①酸素を取り込もうとする②二酸化炭素を排出しようとする ということです。

身体が呼吸で何をしたいのか、何をする必要がある状態なのか

 呼吸回数が多い場合、身体は ①酸素を取り込もうとしている ②二酸化炭素を排出しようとしている 状態です。

O2がほしい…

①の場合が一番考えやすく、痰が詰まってしまった気道狭窄のように、気道に問題があることで窒息してしまいPO2が下がってしまいます。そこで呼吸回数を挙げて酸素を体が取り込もうとします。気道に問題がなく窒息していなくても、発熱した場合でも呼吸回数は上がります。発熱の場合は、全身の代謝が上がり、酸素需要が高まることで身体が酸素を取り込もうとして呼吸回数が上がります。

CO2を吐き出したい…

②の二酸化炭素(CO2)を排出しようと場面は正直あまりイメージしにくいですよね。一つ例を挙げるとしたら、皆さん大っ嫌いな酸塩基平衡です。酸塩基平衡というとは、それだけで本が一冊かけてしまうほど難しいテーマです。もし腎不全や敗血症は機序は違えど重症化すると体が酸性化するアシドーシスになることがあります。アシドーシスは血液内に二酸化炭素CO2が多いほど進行しまうので体は必死にCO2を出そうとします。そこで呼吸の回数を上げてゼイゼイ・ハカハカすることでCO2濃度を下げてアシドーシスを改善させようとします。これを代償作用といいます。ポイントは何らかの代償作用で呼吸回数を上げていることがあるということです。

なぜpHが変動してしまい、そのような代償作用があるのかという酸塩基平衡に関しては、新人看護師にも理解してほしいですが、正直難しいので後回しでもいいです。ICU・HCUの新人看護師であっても2年目から深く学ぶ領域になってくるのではないでしょうか。

呼吸回数に注目する癖をつけよう

 新人看護師は、どうして呼吸回数が変動するのか、何のために呼吸回数を上昇させているのかという深いアセスメントは一旦置いといていいでしょう。しかし、上に書いたように呼吸回数は全身状態をアセスメントする上で重要項目です。新人看護師の内に呼吸回数に注目する癖はつけるようにしましょう。

コメント

タイトルとURLをコピーしました