看護学生時代から読書は私の趣味の一つです。心が切迫していた看護実習や右も左もわからず慣れるしかないと思っていた新卒看護師時代も少しずつ本を読んで自分のモチベーションを保っていました。いわゆるストレスコーピングです。今回の「ねこを棄てる」も読んでみてとても心が落ち着きました。親と子の関係についてじっくり考える機会を与えてくれたと思います。
私の中では様々な作家さんの本を読んでいますが、「この作家さんの本はこういう感じの所が素敵だなぁ。」という、作家さんごとでの本のイメージがあります。例えば、心がふんわり暖かくなる読書は瀬尾まい子、長時間熱中し時間を忘れてストーリーに夢中になるのが東野圭吾、文学的な魅力を感じてしまうのが村上春樹です。今回は村上春樹の「猫を捨てる」を読みました。
村上春樹特有の素敵な言い回しの数々が非常に心地が良かったです。実際にこんなことをしゃべられたら困るような言葉ばかりですが読書となると素敵だなと思ってしまいます。ましてや私のように文学的知識もセンスも特にない読者にも心地よさを感じさせる村上春樹の言葉選びは、本当に優れているんだろうなと思います。
「猫を棄てる」は村上春樹とその父との関係を綴った物語でした。親子なら気が付くと亀裂が生じていたということは珍しくないと思いますが、戦争で自分の人生が二転三転した世代からすると、平和な世界で生きている子供達に対して、現代の親世代が思っていること以上にいろいろと思うことがあったんだろうと思います。
私も父とは色々あって大きな溝があり、9年ほど会っていません。このまま会うことはないんだろうなぁと思っていましたが、会ってみると当時よりは平然と言葉を交わせることができるかもしれないと「猫を棄てる」を読み終わった後に考えました。親子の関係は大きな溝ができることもあるかもしれませんが、親と子という関係があることで切っても切れない線ができているという内容が「猫を棄てる」に書いてあります。もう会わないと決めつけることなく気長にゆっくり考えてみよう思います。
「猫を棄てる」。皆さんも良ければ読んでみてください。こちらでアマゾンでご購入いただけます。
コメント